ホーチミン市のある夫婦は、何年も前から何百匹もの犬、猫、ウサギ、カメなどを保護し、飼い主が見つかるまで世話をしている。

チャン・ユェン・ニューさん（Tran Uyen Nhu）と夫のグエン・クオック・カンさん（Nguyen Quoc Khanh）は、6区の自宅からビンチャン区の保護施設としている借家まで10キロの道のりを移動することから1日が始まる。
午前中、「私たちの子供」と呼ぶ動物たちに餌を与えたり遊んだりした後、夫妻は自宅に戻りさらに100匹の猫や犬の世話をする。

ニューさんがこの活動を始めたのは2014年で、ひどく傷ついた犬を救助して治療する友人たちのグループに参加したときだった。しかし、しばらくすると他の人たちは忙しくなり活動が続けられなくなったが彼女は続けることにした。
その動機を尋ねると、恵まれない人々を助ける団体はたくさんあります。でも、動物には保護したり世話をしたりする団体はなく、動物たちにも温かい愛情を知ってもらいたかったのです。尻尾を振って挨拶してくれる彼らを見ると私も嬉しくなります。この7年間で、何千匹もの野良猫や捨て犬を引き取り、飼い主を探したり、亡くなった動物たちを埋葬したりしてきましたと話してくれた。

現在、彼女は350匹以上の犬や猫の世話をしており、餌やその他の必要なものを買うために、毎月1億ドン（約50万円）近くを費やしている。そのうちの30〜40％はスポンサーからの支援で賄い、残りはペットショップ経営、家族の飲食店経営を手伝い、夫のカンさんの写真スタジオ経営から捻出している。

彼らのFacebookページ「Cuu Ho Cho Meo Saigon Time（Rescuing Cats and Dogs Saigon Time）」には、13万以上の「いいね！」が集まり、ネット上のコミュニティからは賛辞や励ましの声が絶えず寄せられている。

また、野良犬や捨てられた動物を引き取ってくれないかとメッセージも多く、病気やひどい怪我をしている場合は、まず獣医に連れて行って治療を受けさせ、避妊去勢手術やワクチン接種もする。
その後、彼らは健康になった保護犬・猫のために新しい家を見つけ、さらにより多くの猫や犬を引き取ることができるようにしている。

飼い主を探すときは、候補者に質問事項を送り実際に会って、2週間一緒に暮らしてもらい本当に飼えるのか、相性はいいのかなどを確認し、慎重に行っている。
さらに飼い主には、もしもその動物を飼いたくなくなったり、世話ができなくなったりした場合には、他の人に譲るのではなく返してほしいと伝え最後まで責任を全うしている。

ロックダウン時の苦労

新型コロナパンデミックのロックダウン時には、ペットショップと飲食店が何カ月も休業していたため餌を買うお金がなく、友人から5,000万ドン（約25万円）を借りなければならなかった。
しかし、そのような状況でも彼らは動物たちの世話を止めることなく、この期間にも、飼い主が新型コロナに罹り世話ができなくなった100匹以上の犬猫を保護した。

また、ロックダウン時は移動の規制があり、ビンチャン区まで行くことができなかったため夫のカンさんが泊まり込みで世話をしていた。規制が緩和され夫や保護犬や猫たちに再開した時は感激したとニューさんは話す。

困難に直面しながらも、幸いなことに今は少しずつ状況が回復してきているので、動物たちの世話をするためのお金を稼ぎ、借金を返済することができますと前向きに話す。

動物たちの死を目の当たりにして何度か諦めようと思ったこともあるが、夫婦でお互いに励まし合って動物たちを見捨てずに続けています。また多くの支援にも恵まれているので、今はこの活動に集中し彼らに新しい家族を見つけていきたいと今後の意気込みを語ってくれた。