国連平和維持活動を夢見た若き女性兵士
Nhân vật
2018年からアフリカの南スーダンに派遣された国連平和維持活動に初参加したベトナム軍の中にブルーヘルメットへの憧れを実現させた初の女性グエン・ティ・ミン・フォン(Nguyen Thi Minh Phuong)中佐の姿があった。
軍人家庭に生まれたフォンさんに、軍人になるきっかけを作ったのは戦術教師の祖父の存在だった。
「彼が教壇から帰ってくるたびに、弟や友人を誘って兵隊ごっこや指揮官ごっこをしたものです。そうしているうちに私は兵士の生活に愛着を持つようになったのです」と語る。
タイグエン教育大学(Thai Nguyen Pedagogical University)を卒業した彼女は、多くの選考を経て第一陸軍士官学校の英語教師となり、最愛の人を見つけ結婚し息子と娘を産み、昇進も重ねすべてが順調に進んでいった。
そんな彼女の転機となったのは2014年、ベトナムが国際連合南スーダン派遣団(UNMISS)に初めて2人の将校を派遣したことだ。この話を聞いたフォンさんは、国連平和維持活動に従事する要員だけが許させるブルーヘルメット姿の先駆者に感銘を受け、彼らの後に続くことを夢見るようになっていった。
「国連の平和維持活動に参加することはベトナム人民軍の新しい任務の一つでした。そのため、私は平和維持活動の内容を調べて理解し、党、国家、軍のガイドラインや方針をたくさん読んでこの任務に備えるようにしていました」と語っている。
象徴的な青いヘルメットと平和維持軍の制服を身につけたいという彼女の思いは、2016年にオーストラリアで開催された専門訓練コースに参加したとき、さらに強いものになった。ここで彼女は国連での勤務経験がある参加者と出会いその活動について正しく学ぶ機会を得た。
外交や防衛に関する専門知識を持つ女性のニーズが高いことを知り、2017年から2018年にかけて、次女の出産と重なりながらも修士号を取得し、いつの日かブルーヘルメットに参加するという夢を持ち続けていた。
そのチャンスが来たのは2018年の末だった。ベトナム平和維持活動局の女性兵士募集を見たときに彼女はとうとう夢を実現する時がきたと思った。
当時、私の友人や同僚のほとんどは私の夢に驚き応援してくれませんでした。彼らの多くは私の人生が軍事学校の外国語学部の副学長という地位にあり、幸せな家庭と3人の子供に恵まれ満足していたと思い込んでいたからだと思うと振り返る。
そんな中、フォンさんの背中を押したのは夫のドゥオン・フイ・ヒエップ(Duong Huy Hiep)さんだ。「君はこの世を去る前に社会に役立つことをするために生まれてきたのだから、それをやりなさい」と言って彼女を励ましてくれた。
そうして2020年5月、少佐から中佐に昇進をしたフォンさんは、厳しい選考基準と訓練に挑んだ。
健康であること、外国語に堪能であること、軍事戦術や平和維持、国連に関する知識があることに加え、マニュアル車を運転できること、サバイバル装備を使用できること、時には危険な環境下で単独で活動できることなどが条件だ。さらに国際連合南スーダン派遣団(UNMISS)での任務に万全を期すため、ベトナム、オーストラリア、韓国の平和維持部門の研修で現実に即した模擬訓練を重ね、ついに2020年10月24日に国際連合南スーダン派遣団(UNMISS)の選考合格の知らせを受けた。
南スーダンでの軍事監視員としての務めは、陸軍基地の外をパトロールし、異なる派閥間の停戦合意の実施状況を本部に報告することだった。
内戦、宗派間の対立、民族問題などの影響を受け、貧困と暴力が蔓延し、時にはタフで迅速な判断を迫られる緊迫した状況の中での任務だったが、彼女は可能な限り穏やかさを心がけ優しくもしっかりとした強さを維持した。
「南スーダンは、長年の内戦で荒廃した厳しい土地です。そこに長く滞在すればするほど、平和の価値と平和を守るという私の使命の意味を理解することができました」と話す。
帰国直前の南スーダンの治安と政治状況は、暫定統一政府が承認され、2020年2月22日に設立が正式に発表され、2023年に正式な選挙が行われることが発表された。一部の民族紛争や報復攻撃、家畜の強奪などの小規模な小競り合いが依然として行われていたものの一定の活動の成果の兆しが見えた。
帰国した彼女は南スーダンを悲観的に見る人が多い中、どんな状況でも楽観的でいることが最も重要であることを悟ったという。
「楽観主義は、困難や課題をコントロールして対処したり、ストレスやプレッシャーを和らげたりするのに決定的な役割を果たします。楽観主義のおかげで友人や同僚、地元の人々にプラス思考なエネルギーを与えることができ任務を成し遂げることができた」と現地で実感したことを話してくれた。