紋別-魅力いっぱいの北の海のエリアへようこそ!
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Text: Nguyen Dinh, Iguchi Yui/ Photo: Nguyen Dinh, H.I.S, PIXTA/ Translator: Inako, Lang Vi
日本最北端に位置する場所に、紋別という魅力あふれる観光スポットがある。北海道の政令指定都市である札幌市からは300kmほど離れており、車では約4時間。ANAグループが運航する東京~オホーツク紋別線が毎日10:30に出発し、羽田空港からオホーツク紋別空港までは約1時間50分。観光に最適となる時期は、長い冬を越えた花々が開花する5月〜9月。芝ざくらやチューリップ、ラベンダー、コスモスなどの花が次々と花を咲かせ、旅人を夢幻の世界へ誘ってくれる。さぁ、忙しい日々を忘れ、楽しい紋別へと足を運ぼう。
流氷砕氷船ガリンコに乗って、流氷の世界を楽しもう!
流氷砕氷船ガリンコ号2 (Photo: Nguyen Dinh, H.I.S)
毎年冬が訪れると、流氷がシベリアからオホーツクに流れてくる。オホーツク海の水温が0度以下に下がり、特に紋別では、流れ着いた巨大な流氷が岸で固く凍りつく。これを砕いて航路を開くために、流氷砕氷船が誕生した。その中で、最も有名なのがガリンコ号2。長さ6m程のドリルを2つ、船体前部に装備しており、それを回転させ氷に乗り上げ、氷を割りながら流氷の中を進むことができる船だ。さぁ、ガリンコに乗って、表情豊かな氷が海を漂う、非常に幻想的な光景を観賞しよう!
カニの爪モニュメント-紋別のシンボル的存在
(Photo: Nguyen Dinh)
オホーツク海のすぐそばに、高さ12m、幅6m、重さ7トンもの巨大なカニの爪のモニュメントがある。これは、カニをはじめとする海産物が豊かな、紋別のシンボル的存在とされる。
紋太くん-紋別のマスコット
紋太くんはアザラシをモチーフにした紋別のマスコット。 お土産やTシャツなどに印刷され、オホーツク紋別空港に到着するとあちこちで見かけられる。訪れる観光客を紋太くんが歓迎してくれることも。
ぜひ泊まりたいホテル
(Photo: H.I.S)
人口2.5万人の紋別には、ホテルは3つしかない。その中でも、紋別セントラルホテルがおすすめだ。モダンな建築デザインだが、江戸時代の旅館を思わせる情緒あふれる雰囲気の部屋で、旬の恵みたっぷりの懐石料理をいただける。しばしば開催される豪華な茶席では、有名な日本人茶師が日本の伝統文化・茶道を紹介してくれる。
紋別セントラルホテル
Add: 7-1-58 Minatocho, Mombetsu, Hokkaido
URL: mombetsu.co.jp (英語, 日本語)
流氷をテーマにした科学センター
(Photo: Nguyen Dinh)
北海道立オホーツク流氷科学センターでは、真夏でも冬の世界を体験できる。1991年に設立し、延床面積約3,100万平方メートルの大規模な空間では、流氷の世界を再現するため、写真や文献、模型などが展示されている。
また、マイナス20度に保たれた厳寒体験室では、実際の流氷の氷に直接触れることができ、シャボン玉や濡れタオルが目の前で凍るという実験も体験できる。
(Photo: Nguyen Dinh)
めったにお目にかかれない、貝殻を持たない貝の仲間「クリオネ」は必見。体長5~30mm程度、身体が半透明で、羽ばたくよう泳ぐ優雅な姿から「流氷の天使」と呼ばれる。寒さと飢餓に強く、1年間の絶食にも耐えるという、神秘的な特徴を持っている。
(Photo: Nguyen Dinh)
北海道立オホーツク流氷科学センター
Add: 北海道紋別市元紋別11-6
Hour: 09:30 – 17:00 (休日:月)
Ticket: 750円
URL: giza-ryuhyo.com (日本語)
アザラシの“家”
(Photo: Nguyen Dinh)
日本最大の漁場、そして世界4大漁場の一つであるオホーツク海には、アザラシが生息している。流氷砕氷船ガリンコ号に乗ってオホーツク海沿岸を周遊すると、アザラシが悠然と泳ぐ感動的な光景を見られることもある。時折、怪我をしたり、網の中に迷い込んでしまったアザラシは、漁師たちに助けられ、紋別港の南東の端にあるオホーツクとっかりセンターへと運ばれる。治療を受けて十分に回復すると、また自然の海へと帰っていく。
同センターの名前になっている「とっかり」とは、アイヌ語で「アザラシ」の意味。現在は24頭のアザラシを飼育・保護している。ぜひ見学してほしいのが、去年オープンしたばかりの、同センターの横にあるアザラシシーパラダイスにいる年上のアグさん(29才)と年下の日和ちゃん(2才)だ。彼らは、お客さんと一緒に遊ぶためにトレーニングをし、毎日のんびりと過ごしている。
(Photo: Nguyen Dinh)
紋別で生活するアザラシの平均寿命は30~35歳。今年29才のアグさんは人間でいうと80歳のおじいさんだ。日和ちゃんと違って人懐こく、取材日はプールから飛び出しできて、手でバタバタとおなかを叩いたり、ゴロゴロと転がったり…アクロバティックな動きで、私たちを迎えてくれた。パフォーマンスをするのがうまく、甘え上手で、餌やりタイムの際に早く餌をくれないと怒った顔をし…表情豊かで、まるで人間のようだった。
(Photo: Nguyen Dinh)
とっかりセンターでは、1日に5回解説(餌やり)を行う。午前中の解説は10:30、11:30からの約10分間で、午後のは13:30、14:30、15:00からだ。1日の餌の量は3kgほど。この時間に、アザラシを間近で観賞したり、餌をやったり、パフォーマンスをするための合図を習うことができるのが楽しい。
間近でアザラシと触れ合ったり、彼らの日常生活を観察できるのは、紋別の旅ならではの特別な体験だ。
オホーツクとっかりセンター
Add: 北海道紋別市海洋公園2番地
Hour: 9:00 – 17:00
Ticket: 200円
URL: mombetsu.jp/sisetu/other/
花咲き誇る時期を迎える紋別
紋別では、氷が溶け始めると、桜やチューリップ、芝桜、ラベンダー、コスモスなどが次々に見頃を迎える。あちこちで色とりどりの野生の花々が一斉に咲き乱れ、まるで地面に錦模様の織り物を広げているようだ。
香りの里ハーブガーデン
(Photo: Nguyen Dinh)
4万平方メートルの園内には、世界中から集められた約300種類のハーブが栽培されている。6月から9月にかけて、さわやかな香りと色とりどりのハーブがシーズンを迎える。薄荷の生産量は日本一だ。薄荷を使ったソフトクリームを、ぜひ食べてみてはいかが?
滝上町にある芝桜の丘
(Photo: H.I.S)
滝上町の市街地を流れる渚滑川とその支流であるサクルー川の合流点に、10万平方メートル程の植物群落がある。そこは、紋別市から車で40分の「滝上公園」だ。5月から6月にかけて芝桜が一面に咲き誇り、甘い香りが街中を包み、なんともロマンチックな景色を作り出している。
滝上公園は1954年に開園。当時は園内に1,000本もの桜が植えられ、20世紀前半の数十年で桜名所として北海道民に親しまれていた。しかし、1954年の洞爺丸台風によって桜が壊滅状態になってしまい、その代わりに当時の園長・片岡平治氏が、偶然町内の法国寺に咲いている野生の芝桜に目をつけ、その苗をもらってきて公園の片隅に植えたそうだ。根分け増殖で面積を増やしてゆき、町民の協力もあって、現在は10万平方メートルの花畑となっている。毎年、丘の斜面に咲き広がる芝桜を眺めに、5万人もの観光客が滝上町を訪れているそうだ。
(Photo: Nguyen Dinh)
滝上公園
Add: 紋別郡滝上町元町
URL: takinoue.com
Open: 5月~6月、 07:00 – 18:00
Ticket: 500円
コスモスの園、太陽の丘えんがる公園
(Photo: Nguyen Dinh)
桜草の季節の後は、太陽の丘えんがる公園にコスモスの季節(8月~10月)がやって来る。日本で最も大きなコスモス園の一つで、10ヘクタール以上の太陽の丘えんがる公園には、華やかな花絨毯のように美しいピンク、白、オレンジ、黄色、赤の花が1千万輪同時に咲く。コスモスの季節には、コスモスフェスタに参加し、花火を眺め、祭りで売られている伝統的な手作り作品を買うチャンスだ。
恋愛の花の藤
(Photo: Nguyen Dinh)
チューリップの季節の次の6月は、紋別市の隣にある遠軽町丸瀬布で藤の花を眺められる時期でもある。1945年から、遠軽町に植えられた格別な紫色の藤は、平和山公園おなじみのイメージになった。紋別市の花を楽しむなら、遠軽町が最適な場所だ。
かみゆべつチューリップ公園
(Photo: Nguyen Dinh)
12.5ヘクタールに広がるかみゆべつチューリップ公園は、現在富山県に次いで日本で二番目に大きいチューリップ園で、花を愛する世界中の人々が集まる場所だ。こちらでは、220品種のチューリップが約150万輪咲き誇る。
国道242号線沿いにあるかみゆべつチューリップ畑は、花の見頃の時季はなんとも鮮烈だ。カラフルなストライプを作り出すチューリップ畑に、風車や西洋の建築物が溶け込み、チューリップの里であるオランダを思わせる。
(Photo: Nguyen Dinh)
かみゆべつ公園で鮮やかに咲くチューリップは、言葉で形容できないほど美しい。赤・ピンク・黄・白などの単色以外に、特別な色や形の新しい品種が何百とあるという。2016年には73の新しい品種が紹介されている。美しいチューリップを楽しんでいると、時間がたつのを忘れてしまう。
かみゆべつチューリップ公園
Add: 北海道紋別郡湧別町上湧別屯田市街地
Hour: 08:00 – 18:00
Ticket: 500円
オホーツクタワー
(Photo: H.I.S)
紋別港から約1キロ離れたところに、高さ40mの氷海海中展望塔が、海面からそびえ立っている。それはオホーツクタワーという、流氷に関する総合的研究を目的とする世界初の施設だ。塔内には紋別港の景色を眺める展望室があり、海底階からは流氷を下から展望することができる。また、冬に流氷が岸に流れ着かないよう、紋別港と同タワーを結ぶ約500mの防波堤が建設。オホーツク海沿岸の流氷のせめぎ合う音が、環境省による、将来に残していきたい日本の音風景100選に選ばれたそうだ。
紋別市立博物館
(Photo: Nguyen Dinh)
紋別の町中にあるのが紋別市立博物館。漁業道具を数多く展示し、紋別の中心産業である漁業と採掘業の歴史を紹介している。館長・Shikoda Satoru氏の説明によると、数百年前に漁師たちが使ったHerring Banyaという施設を再現しているのをはじめ、紋別の新旧の漁業道具が展示されている。
上湧別のふるさと館JRY
(Photo: Nguyen Dinh)
高さ25mで、建物は侍用の笠をモチーフにしている。館内は1階・2階の広いスペースで、かつてこの地に入植した先人たちが暮らした住まいを再現している。また、彼らの紋別開拓の歴史資料や、内地から持ってきた日用品などの展示など、湧別の歴史も紹介している。
ショッピングなら
(Photo: Nguyen Dinh)
賑やかな市場やお土産屋のほかに、魅力的なショッピングスポットが2つある。紋別駅の旧駅舎に作られたオホーツク氷紋の駅と、イオンだ。おすすめは海鮮の干物。
紋別グルメ・海の幸たっぶり
厳しい冬、暖かい夏、オホーツク海の温度差により、紋別が豊かな海の幸を育み、特異な料理文化が生まれた。かに天ぷらやホタテ刺身や焼きホタテなどカニやホタテの料理は絶品だ。
ずわい蟹の鍋
(Photo: PIXTA)
たらば蟹やずわい蟹などで有名な紋別。柚子で作った酸味のあるポン酢を使い、ねぎや白菜などと一緒に食べる新鮮な蟹のしゃぶ鍋は、絶対食べたい紋別料理だ。
焼きホッケ
(Photo: PIXTA)
「焼く」というのは、紋別の海鮮を味わう最も簡単な料理方法だ。ホッケは焼く前に半分におろし、干物にして水分と脂を抜いている。
ホタテ
(Photo: PIXTA)
4年以上のホタテは、ビンロウのように大きい。食卓にかまどがあるので、焼きながら食べられる。どんなお客さんも満足し、悲しいことを忘れられる美味しい海鮮パーティだ。
チーズ
(Photo: Nguyen Dinh, H.I.S)
ナチュラルなチーズ、ヨーグルト、フレッシュミルクがお好きなら、North Plain Framをぜひ訪ねてみてほしい。North Plain Farmで生産されたチーズや、ミルク製品が売られている。
NGUYEN DINH, IGUCHI YUI/ kilala.vn