五感を刺激する鳥取へ
Travel
Text: Senda Mayu/ Photo: Tottori Prefecture
Cooperation: Tottori Prefecture, HIS Song Han Vietnam Tourist
日本といったら、桜と富士山?小さな島国だけれど、それだけじゃない。定番の東京や大阪ももちろん立ち寄りたいけれど、まだあまり知られていない穴場の場所にこそ、日本の奥深さや大自然の美しさが、飾り気ない姿でそこにある。大阪よりも少し西側、山陰と呼ばれる地域に、鳥取という県がある。東西に細長く、北側は日本海を臨み、南側は山脈だ。豊かな自然は美しい景観とおいしい食べ物を育み、訪れる人の心を満たしてくれる。鳥取にあるのは、決して派手ではないけれど、温もりのある日本。この特集があなたのインスピレーションを少しでも刺激したなら、さっそく出かけよう!知らない場所へ出かけるドキドキと、新しいものに出逢うわくわくのために。
鳥取砂丘
日本人に「鳥取のイメージは?」と聞いたら、おそらくほとんどの人が「砂丘」と答えるはず。定番のアクティビティは、ラクダ乗り体験。背中にコブをたくわえた、おっとり顔のラクダたちに癒やされよう。
砂の美術館
砂丘から徒歩5分ほどの場所に砂の美術館がある。世界的に活躍する砂像彫刻家の茶圓勝彦氏がプロデュースを務める、世界で唯一の「砂」の美術館だ。
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とっとり花回廊
砂丘とは真逆のイメージだけれど、鳥取には花もある。「とっとり花回廊」は、日本最大級のフラワーパークだ。10.000㎡に渡って広がる広大な花畑が、四季折々さまざまな表情で出迎えてくれる。花畑の向こうには、標高1.729mの大山が佇んでいる。人気の撮影スポットでもあるので、記念撮影はお忘れなく。
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大山
秋は、花畑だけでなく山々も秋の色に衣替えする。鳥取の人々からこよなく愛されている火山・大山は、10月下旬から11月上旬にかけて、紅葉のピークを迎える。冷たくなり始めた秋の空気の中、目の前に迫る圧巻の光景は、まるで絵画のようだ。そんな大山、じつは見る方角によって、まるで違う山かと思うほどに雰囲気を変える。北側、南側は、崩落・侵食・小爆発などによって荒々しい崖が形成されており、「壁」と呼ばれる。一方、西側で見せるのは、山らしいなだらかな姿。富士山にも似た均整のとれた美しい形から、伯耆富士とも呼ばれている。伯耆とは、鳥取県西部の昔の国名だ。大山では、スキーや登山などのアクティビティもさかん。雄大な大自然を全身で感じよう。
雪の白と紅葉のコントラストが美しい南側。
雪をかぶるとますます富士山に似ている西側。
大自然とともにある、歴史ある寺社
三徳山三佛寺投入堂
建っている場所は山の上の断崖絶壁。類をみない建築遺産と評されていながらも、「日本一参拝が難しい」とされ、登山の準備がないと近づけない。登山なしの場合、遠くから拝むことができる。
大山寺
大山の中腹にあり、大神山神社とともに、大山信仰の象徴とされる寺社。1.300年以上前、最盛期には3.000人もの僧の修業の場となっていたそう。大山エリアに訪れたら、是非参拝したい。
雨滝
鳥取の「水」にまつわる場所も巡っておきたい。鳥取市国府町には、「雨の滝」という意味の雨滝がある。原生林に囲まれた遊歩道を進むと、落差40mで大きな音を立てて流れ落ちる、迫力ある滝に出逢う。古来より信仰の場所とされていたこの滝では、今でも毎年初夏に「滝開き祭」を行い、清らかな水の恵みと人々の幸運を祈願する。そこで披露される「因幡の傘踊り」は、唄にあわせて、100個の鈴がついた傘を“しゃんしゃん”という音とともに回転させながら舞う。江戸時代、この地方が大干ばつに見舞われた際に行った雨乞いの踊りが起源だという。科学技術が進歩した今でも、神を崇めるこのような風習が残っている…それは、日本の素敵なところのひとつだ。
温泉
鳥取は温泉にも恵まれており、県内には10カ所の温泉地がある。米子市の皆生温泉は、海水浴場と隣接し、山陰最大の温泉地とも称される。なんといっても海岸沿いにあるのが大きな魅力で、美しい海原を眺めながら温泉につかることができる旅館がいくつもある。雄大な大山のシルエットとともに昇る朝日、空と海を橙色に染めながら落ちる夕日の景観はまさに絶景。旅一番の贅沢な時間が待っている。
もうひとつ、三朝温泉は、850年以上も前から療養のための湯としても知られる癒やしの場。お湯につかっても、飲み水として飲んでも、湯気を吸ってもからだに良いといわれている。温泉街は、ちょっと昔の日本のような、レトロな雰囲気。足湯や射的ゲームのお店、昔ながらのお菓子を売る「駄菓子屋」などがあり、歩けば歩くほど楽しい発見がある。
山陰最大の温泉地と称される皆生温泉。
名探偵コナンのふるさと
鳥取が誇るべきこと、それは偉大なマンガ家を多数輩出していることだ。そのうちの一人は「名探偵コナン」の作者、青山剛昌先生。彼の出身地である東伯郡北栄町は、ファンにはたまらない「コナンのふるさと」だ。
ゲゲゲの鬼太郎
一方、境港市出身なのは、日本漫画界の巨匠であり、妖怪研究家でもある水木しげる氏だ。「ゲゲゲの鬼太郎」に代表される妖怪のマンガに加えて、自身の若い頃の戦争体験に基づいたマンガも数多く発表しており、人々の心を打ち続けてきた。
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浦富海岸
岩美町にある浦富海岸は、約15kmに渡って、ゴツゴツとした岩肌のリアス式海岸が続いている。荒波が長い年月をかけて創り出したその地形は、鳥取随一の絶景スポット。迫力ある自然美に圧倒される。そして、海好きにはたまらないアクティビティも満載。海水浴、カヤック、シュノーケリング、遊覧船観光、気持ちのよい潮風に吹かれながら散歩…青く澄み渡った海で、時間を忘れて遊び尽くそう。
倉吉白壁土蔵群
白い壁に、赤い瓦の建物がずっと並んでいる。これらは明治時代に建てられたものが多く、当時から続く酒蔵や醤油蔵も点在する。今は伝統的建造物の保存地区に指定され、その風情を残しながらも、カフェや雑貨店として営業している。レトロな門構えの入口を入ると、温かみのある内装に思わずうっとり。
おみやげにいかが?鳥取の伝統工芸
和傘
「淀江傘」と呼ばれる和傘。約200年前に淀江の地で発祥したが、洋傘の普及によって1984年にすべての業者が廃業してしまった。今は有志のメンバーによってその技や伝統が受け継がれている。竹から作られる温かみのある傘は、インテリアにもおすすめ。
織物
鳥取の弓浜地域と倉吉地域は、「絣」という織物で有名。絣とは、染色した糸で文様を織り上げた布のこと。手作業で丁寧につむがれた絵柄は、鼓や扇、菊など縁起物が多く、贈り物にも最適。
鳥取のおいしいもの
梨
日本の梨のおいしさは、一度食べたら忘れられない!鳥取は、「二十世紀」というブランドの梨の名産地で、国内シェアの約半分を占める。みずみずしい果肉をシャリッとかじると、さわやかな甘みの果汁がしたたり落ちる。
松葉ガニ
鳥取随一の冬の味覚。山陰地方でとれたズワイガニの雄のことを、松葉ガニというブランド名で呼んでおり、身がぎっしり詰まっているのが特徴。刺身も焼きも鍋も何でも絶品。
らっきょう
水分が少なくても育つため、砂丘地域で古くから栽培されてきた。シャキシャキで甘酸っぱいらっきょうの漬物は、カレーなどに添えるとおいしい。
大山の乳製品
大山のふもとに広がるみるくの里では、乳牛たちがのびのびと生活。アイスやチーズなど、新鮮でおいしい乳製品を楽しもう。
SENDA MAYU/ kilala.vn
Tottori Guide
www.tottori-guide.jp
Visit Ancient Sanin
furusato.sanin.jp