魅力的なフィンテック市場であるベトナム
Tin 60s
日経アジアによると、東南アジアにおいてベトナムの経済規模は3,400億USD(約38兆円)で、インドネシア、タイ、フィリピンよりも小さいものの、フィンテック分野はさまざまな要因から特に魅力的だという。
第一にベトナムは一人当たりの銀行支店数が比較的少ないが、成人人口の約80%が携帯電話を持っており、この地域で最も携帯電話の普及率が高い国の一つであること。第二に規制当局がフィンテック分野を大きく支援しており、数十社の地元企業にモバイルウォレットのライセンスを与えているため、スマートフォンを利用してユーザーに金融サービスを提供しやすい。また、ベトナムのモバイル決済市場の60%を占め、2,500万のユーザーを有するモバイル決済アプリMoMoの成功がライバル会社を刺激している。
モバイルマネーの略であるMoMoは、2013年に初めてサービスを開始し、現在ベトナム最大のモバイルウォレットとなっている。ホーチミン市を拠点とするMoMoは、新型コロナウイルス流行以前に、ユーザーに利便性を実感してもらうためのプロ―モーションを全国で300以上の店舗を誇るHighlands Coffeeをはじめとする、国内最大級のコーヒーチェーンと実施した。このプロ―モーションは、少額でもMoMoを利用し1日に何度もアプリを開くことを促し、ユーザーの開拓と利用頻度を高めることを後押しした。
このMoMoの台頭により、競合他社も市場拡大に向けて様々な動きをみせている。
配車サービスアプリGrabは、現地のモバイル決済企業であるMocaと提携し、配車とフードデリバリーサービスの主要な決済手段としている。
他にも、シンガポールを拠点とするテクノロジー企業Seaも、ベトナムでの決済サービス開始に向けて動き出しる。Seaは、ベトナムで最も人気のあるフードデリバリーアプリの1つであるNowの運営もしている。
デジタル決済会社VNPayを所有するVNLifeは、米国の投資家から2億5000万USD(約280億円)以上を調達したと発表。2019年には英国を拠点とするソフトバンク・ビジョン・ファンドとシンガポールの政府系投資会社GICから3億USD(約330億円)を受け取ったと報じられている。
これに対し、MoMoは米国の投資家グループから1億USD(約110億円)の資金調達に成功したと金融誌が発表しているが、同社はすでに追加資金の調達を検討しているという。また、アプリを受け入れる店舗のネットワークを拡大することに加えて、オートバイ保険や消費者金融などの分野に進出し、製品開発をスピードアップするためにソフトウェア会社を買収している。
エコノミストのフイ・ファム氏によると今後の課題として、多くのベトナム人は、4〜5個のモバイルウォレットを同時にダウンロードし、常に最適なアプリを模索していることから、プロ―モーションをしなくても常時利用してくれるユーザーを獲得することが必要となってくる。また、銀行が同様のアプリサービスを提供し始め、モバイルウォレットや銀行口座がなくても電話番号で支払いできるなど利便性を高めてきていることから、さらに他社との差別化を図らなくては生き残れないという。
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