ベトナムのビジネスコスト
Tin 60s
シンガポールに本拠を置きアジア太平洋地域のビジネス・トランスフォーメーション・コンサルティングをする会社TMXが最近発表したレポート「サプライチェーンの大移動-アジアにおけるビジネスコストの破壊」によると、9カ国の中でベトナムは電話料金の安さで1位、営業コストで3位、人件費の安さで4位にランクされた。
このレポートでは、アジアにおけるビジネスの平均的なコストを調査し、カンボジア、インド、インドネシア、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナムといった人気の高い9つの製造拠点について、それぞれの国の競争力に焦点をあてている。
調査では各市場における人件費、リース料、操業費、物流費、光熱費、通信費について分析した。
さらにビジネス環境、人材パフォーマンス、ロジスティクスパフォーマンス、デジタル化への準備などからなる定性的要素に基づき、9市場の競争力においてベトナムは、シンガポール、マレーシア、インド、タイにそれぞれ次ぐ第5位となっている。
光熱費と通信費は、ほとんどの国で総コストの約16%を占めており、ベトナムは電話料金が最も安価であると評価された一方、カンボジアは最も高い料金であると見られている。
運営コストについては、ベトナムは月額79,280ドル(約900万円)から209,087ドル(約2400万円)で、カンボジア、ミャンマーに次いで3番目に低い平均総運営コストであった。
各国とも総コストの55%に達する主要な構成要素である人件費については、カンボジア、ミャンマー、フィリピンに次いで、ベトナムが最も安価な市場の第4位に格付けされた。
9カ国それぞれの総コストの中で2番目に大きな要素である倉庫の賃貸料に関して、ベトナムは1平方メートルあたり月5ドル(約570円)の平均賃貸料で、タイ、ミャンマー、カンボジアに次いで手頃なコストで4位となった。
物流コストに関しては、ベトナムは「潜在性の高い市場」に分類され、相対的に物流コストは高いが事業拡大が可能な国であることを意味していた。
シンガポールを除く8カ国は、製造業のバリューチェーンにおいて「基本的な組み立てライン」「発展途上のサプライチェーン」「初期の自動化」に分類された。
「基本的な組み立てライン」に分類されたカンボジアとミャンマーは、繊維や衣料品などの分野の企業の製造拠点として適している。
「基本的な組み立てライン」「発展途上のサプライチェーン」の中間に分類されたフィリピン、インドネシア、ベトナムなどは、電子機器など製造業の高度化や高度な技術を必要としない分野のビジネスの拠点に適している。
「初期の自動化」に選択された場合は、スマートマニュファクチャリングやイノベーションに投資を始めた企業にとって良い選択肢となる。
レポートでは「ベトナムはビジネス環境においてより良いスコアを持っている。しかし、人材において多くの分野で高度なスキルを持つ人材が少ないため、即戦力となる人材の確保に課題を抱えていることがうかがえる。企業は研修や能力開発への投資を検討することを勧める」と報告している。
TMXのサプライチェーン担当ディレクターでレポートの共同執筆者であるメーガン・ベンジャー氏(Megan Benger)は、「市場ごとに異なる利点と制限があるため、企業は選択した場所に拠点を設置する前に選択肢を慎重に検討することが極めて重要である」とアドバイスしている。
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