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知床

Travel    • 2018年05月07日

Text: Senda Mayu/ Cooperation: ASEAN_Japan Centre/ Photo: Shiretoko Shari-cho Tourist Association

北海道東部に位置する、オホーツク海に細長く突き出た半島。Shiretokoの名前の由来は、アイヌ民族の言葉で、地の果てという意味の「Sir etok」。

知床

流氷がもたらす、命の循環

北海道の知床半島。希少な野生動物や植物など、日本屈指の大自然が残る。1964年に半島が「知床国立公園」に指定され、2005年に、沿岸から3kmの海域22.300haを含む総面積71.000haが世界自然遺産に登録された。海と山が育む壮大な生態系、絶滅寸前の動植物が生息する豊かな生物多様性、それらを科学的調査に基づき保護管理してゆく体制が評価され、登録に至った。

知床

冬の知床の海は、「流氷」に覆い尽くされる。日本では最北の地である北海道でも、流氷が流れ着く地域としては世界的には最も低緯度で、最も暖かい。ロシアと中国の国境を流れるアムール(Amur)川で作られた流氷は、ゆっくりと南下し、毎年1月下旬頃に知床半島に到着する。大海を旅して流氷がつれてきたたっぷりの栄養分で、プランクトンが豊かになり、そのプランクトンを魚たちが食べ、その魚を動物たちが食べ、動物たちの糞や死体は土に返り、山や森をまた豊かにする。このような、海と陸の命がつながった生態系のサイクルがひとつの場所で見られるのは極めて珍しく、それこそが知床の価値を高めている。

流氷

1月下旬から3月中旬にかけてやってくる流氷。地球温暖化の影響により、その量は年々減少しているという

クジラやシャチ、トド、アザラシたちが魚を求めて集まる海。オショロコマという北海道にしか生息していない川魚やマス、サケが泳ぐ川。ヒグマ、シカ、キツネ、リスたちが暮らす山。フクロウやワシ、カモメたちが飛び交う空。そして全てを包み込む木々や花などの植物たち。知床では、地球のありのままの姿に出逢うことができる。未来のためにわたしたちがすべきこと、守るべきものを気づかせてくれる。

ヒグマ

知床の陸の生態系の王者といわれるヒグマ。産卵のために川を遡上してきた鮭を捕まえる姿は圧巻

オオワシ

日本の天然記念物にも指定されているオオワシ。10月末頃から流氷が消える時季にかけて、サハリン・シベリアから越冬のためにやってくる

エゾジカ

北海道にのみ生息するエゾジカ。かつてエゾジカを捕食していたオオカミが絶滅してしまったことから数が増大し、生態系や農業に被害を与えているという現実もある

知床五湖

知床には、原生林に囲まれた5つの湖があり、知床五湖と呼ばれている。豊かな自然と美しい湖面は、まるで楽園のよう

SENDA MAYU/ kilala.vn

ASEAN-JAPAN CENTREは、ASEAN加盟国と日本によって1981年に設立された国際機関です。日本とASEAN諸国間の「貿易」「投資」「観光」「人物交流」の促進を主な目的にかかげ、ASEAN商品の展示・商談会や各種セミナー・ワークショップの開催、人材育成、文化紹介イベント、各種出版物の発行および情報提供など、多岐にわたる事業を実施しています。

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