拡大が見込まれる医薬品産業
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ベトナムと日本は、高齢化や世界的な健康危機を背景に需要が高まっている医療分野での協力関係が新たな段階に入り、ワクチンや研究、医薬品の分野で有望な展開が期待されている。
保健省国際協力局のファム・ティ・ミン・チャウ副局長(Pham Thi Minh Chau)は、10月下旬に開催されたベトナムと日本の医療に関するウェビナーで、いくつかの分野で協力が進んでいる。有望な分野は、ワクチン、研究、抗がん剤、高齢者向け医療、大学と医療機関の二国間協力の強化です。また、高齢化社会は最重要課題であり、高齢者のケアは政府の優先課題の一つですと説明した。
ベトナムは、急速な都市化、高齢化、気候変動、環境衛生などにより健康面での課題を抱えており、医療サービスや医薬品を必要とする人が増えている。
ベトナムと日本の長期にわたる協力関係は、そのほとんどが国際協力機構(JICA)によるものだった。
しかし、現在はこの分野の日本企業の進出に注目が集まっている。
ベトナム日本医薬品部会(JPAV)は、ベトナムのパートナーとは生産や製造においてより緊密な協力関係が期待できます。ベトナム日本医薬品部会に参加する大正製薬、ニプロ、第一三共、ロート製薬は、麻疹・風疹ワクチン製造の技術移転や、医療物流管理に積極的に取り組んでいます。しかし、医薬品の製造販売承認や更新の難しさに直面していると話す。
日本最大の医療用医薬品メーカーであるニプロは、ベトナムの医薬品市場を魅力的な機会と捉えている。
ニプロファーマ・ベトナム(Nipro Pharma Vietnam)は、北部の港湾都市ハイフォンにある最初の工場に1億5000万ドル(約170億円)を投資し2015年に操業を開始した。2017年には、サイゴンハイテクパークに3億ドル(約340億円)を投じた新たなプロジェクトで事業を拡大することを発表した。
同社のジェネラルマネージャーである佐々木啓晃氏は、「私たちは、日本の技術を用いた高品質な医薬品に注力していきます。今回の拡張により、地元の人々の雇用を創出し、長期的に持続可能な製造を行うことを約束します」と述べている。
第一三共は、田辺三菱製薬とライセンス契約を結び、脳卒中後の患者の回復や筋萎縮性側索硬化症の治療のため薬エダラボン(商品名ラジカット/RADICAVA)を販売する。この契約は、第一三共がベトナムでの計画の一つで、昨年、第一三共は営業活動を行うためのベトナム法人の設立を発表した。
また、大正製薬は、ベトナム最大の上場医薬品メーカーであるハウザン製薬(HAU GIANG PHARMACEUTICAL JOINT STOCK COMPANY)への出資比率を50.78%にしている。
日本貿易振興機構(JETRO)によると、日本の投資家は従来の製造業への投資に加えて、ヘルスケアなどの他の分野も注目し、中国からベトナム、フィリピン、マレーシア、タイ、ラオスへの移転を計画している日本企業30社のうち、その半数がベトナムを選び、その大半がヘルスケア分野だという。
市場調査会社のIBMは、ベトナムの医薬品産業の規模は2021年後半には77億ドル(約8,780億円)、2026年には最大161億ドル(約1兆8,360億円)に達し、年平均成長率は11%になると予測している。
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