ブランド喪失にさらされるベトナム製品
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CEOのグエン・ゴック・ルアン氏(Nguyen Ngoc Luan)は、自身のコーヒーブランド「Meet More」が韓国の企業の手に落ちそうになったことを今でも鮮明に覚えている。
2018年、ルアン氏のMeet Moreブランドのコーヒーは韓国に輸出された際に、商標登録の申請をしたところ、別の企業が登録していたため韓国当局に却下された。
「韓国で製品を販売している現地法人が先に申請していたことが判明しました。その際、コーヒーの原産地を明らかにし、そのブランドが私たちのものであり、その会社は私たちの製品の買い手であり、販売者であることを証明するための申請をしなければならなかったのです。韓国政府はその申請を受理し、私たちもパートナーに商標(知的財産権)の申請を取り下げてもらうよう交渉しなければなりませんでした」と振り返る。
このケースは、外国企業が商標の問題に非常に敏感であることを示している。
2020年、ルアン氏はオーストラリアのスーパーマーケットで調査を行ったところ、ベトナムの多くのブランドが商標権を失っていることが分かった。
「ベトナムのフォーの商標権は中国に取られ、ヌックマムはタイに取られているなどブランドロスが常態化しているのです。私たちはブランド・アイデンティティの問題を軽視していたのです」とルアン氏はいう。
ホーチミン市弁護士会のレ・クアン・ヴィー弁護士(Le Quang Vy)は、長年にわたって知的財産の分野で仕事をしてきた経験から、知的財産権の出願は先に出願したものが優先される。後から提出された場合、後者はその製品が自分のものであることを証明するための情報を提供しなければならないと話す。
法律では、商標は商標登録された領域でのみ保護されると規定されており、製品が一国の領域外にまで及ぶ場合は、国際保護登録が必要になる。
登録の費用は高くなく、国際商標の登録には数千ドル程度だが、商標について法的に争うことになると数万ドルから最大で数十万ドルの費用がかかることもある。
このようなことから「短期的に見れば私たちは利益を得られませんが、その製品が市場に出回るようになればそれが価値となる。そのブランド価値を外国の土地で活用する権利があるのです。例えば、コーヒーの実物を売るだけでなく、私たちのブランドを使いたいという人がいれば、権利やフランチャイズを売ることもあります」と、ルアン氏は自身の経験も重ね合わせ商標登録を促進させなければいけないことを訴えている。
さらに「海外の商標審査プロセスでは、保護を希望する商標は1週間から10日程度の審査で済みます。一方、ベトナムでは、出願から2年かかります。その2年の間に通知が来ず、出願が却下されることもあります。マーケティングにお金をかけても、2年後には別のブランドを開発しなければならない。これは、ベトナムにおいて知的財産のブランドを作る柔軟性の弱さの表れです」とブランド保護の重要性を主張する。
このままでは、ベトナム独自のブランドが海外で活用できなくなる恐れがあることを各企業と当局が認識すべきである。
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