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髙田明氏:「V・ファーレン長崎、勝つことは手段なんです」

Business    • 2018年05月29日

Text: Van Anh / Translator: Inako / Photo: 本人提供

倒産寸前だったクラブを、見事に再生しトップリーグのJ1まで昇格した奇跡のV・ファーレン長崎。昇格が決まった日から今日までまだ全国のサッカーファン、特に長崎のサッカーファンの興奮は止んでないでしょう。先日、Kilala編集部はベトナム最初のメディアとして、同クラブを傘下に収めた髙田明氏に時間をいただいて、さまざまなお話を伺いました。

髙田明氏とKilalaの編集者

髙田明氏とKilalaの編集者。


TV通販の雄が、どうしてサッカークラブであるV・ファーレン長崎を引き受けられたのですか。

V・ファーレン長崎というサッカークラブは歴史があり、私が社長を務めたジャパネットたかたはメインスポンサーでした。しかし経営危機に陥ったのが2月であり、長崎のそして長崎の子どもたちの夢を失くしてはいけないとジャパネットたかたが支援を表明し、その支援の下、V・ファーレン長崎の社長を引き受けました。

V・ファーレン長崎

V・ファーレン長崎。


プロサッカーチームの運営は、他のビジネスとはどのような違いがありますか。

ジャパネットたかた時代は形あるモノを販売し、モノを通して人を楽にしたり、幸せにしたりしてきました。スポーツもサッカーなどを通して人を幸せにします。形は違いますけれども、人間の活動はみんな目指すものが人間の幸せです。だからそんなに違いはないと思いました。


運営の状況が悪化したサッカークラブの社長に就任するのはリスクが高いと思われます

V・ファーレン長崎はゼロどころか、マイナスからのスタートでした。資本金も残っていないし、運営スタッフも再編成する必要がありました。そこから見直しを重ねて回復させてきたんです。ビジネスの世界はこういうものですから、リスクというよりチャレンジだと考えるわけです。

良いものを残し、不要なものを捨て、そこでクラブを再生しました。

社長を務めるのが初めてですから、サッカーの難しさやチームの仕組みなど、私には分からないです。何をするかというと、そこの現状がどういう風になったのか自分でチームを観に行ったり、みんなを集めて話を聞いたり、何が間違っていたのか理解します。そこから新たな改革を構築していきます。今でもそういう事を繰り返し続けているんです。


J2だったチームが最短でJ1へ上がれたその大きな理由は何だと思われますか。

何をやったかと聞かれても、社長は何もやっていないんです。一つだけ言えるのは、人間は前向きに考えていけば、不可能なことが可能になるということです。選手と監督はクラブが倒産の危機で試合に集中できないとき、私は社長として「経営の面は心配しないでください」と伝えました。そうしたことで全力で練習に熱中でき、だんだん情熱や気力が高まって、そしてJ1へ上がれたんじゃないかと思っています。


経営者として、V・ファーレン長崎がどれだけ発展していくか予測できますか。

J1になったことはもう過去のことです。J1になってからも、前を向くという考え方で自己を更新していきます。もし選手と監督、我々のスタッフが一生懸命頑張っていけば、勝利、そして仲間が増えていくはずです。ホーム最終戦では2万人を超える方がスタジアムに来てくれました。

髙田明氏


長崎県民やスポンサーからはどのようなサポートを受けていらっしゃいますか。       

頑張る人には必ず同じ価値を持つ仲間、応援してくれる仲間が集まります。ファンやサポーター、県民にはチームへの関心を感じてもらっています。長崎での最初の試合にはスタジアムには4~5,000人しかいなかったですが、終盤には13,000人、最終戦では22,000人に増えました。

基本的には、V・ファーレン長崎はジャパネットたかたの100%出資子会社です。しかし、地域のスポンサーの方の力を借りないと、長崎県と一つになりません。今年は沢山の企業にご協力いただき、スポンサー収入も3~4倍増えるでしょう。昇格が決まったとき、長崎の人達が一つになって喜んでくれました。来年は様々な形で更にスポンサーが増えて応援してくれるので、もっともっと頑張らないといけないと思っています。


サッカーチームに投資することは人間に投資すること。他のビジネスに比べて、難しいことは何ですか。

V・ファーレン長崎にとって勝つことは目的ではなく、手段なんです。我々が目指すのは長崎県民を幸せな気持ちにすることです。その目的を達成するためには勝たなくてはいけません。だから一番難しいのは、選手のスキルレベルはともかく、ファンを大事にしたり満足させたりすることです。そういう心を育てるためには選手やスタッフにもマナーを身につけてもらい、初めて人に感動・感心させるチームができるんじゃないかと思います。

例えば、選手はファンの方に「サインしてもらってもいいですか」、「一緒に写真をとってもいいですか」と声をかけられたとき、「要らない」と言わずにサインします。可能な限り応えてあげないと、自分を応援してくれる人が増えません。そのためには人に威張らないという生き方を持つチームを作る事が大切だと思います。


ベトナムで最も人気のあるスポーツはサッカーです。今までサッカーチームの投資者が大勢いますが、失敗した者も少なくないです。ベトナムの投資者にアドバイスはありませんか。      

日本語では「身の丈」という言葉があります。このくらいの資金がないのに、それ以上のことをやったら、赤字になってしまいます。サッカーチームでは夢を持つだけでは足りません。夢を育て、達成するためには、資金がないと、結局経営がうまくいけません。

私は社長になったときには、スタッフと同じ夢を持っています。でも、夢と現実の間には大きなギャップがありました。今はそのギャップを埋め、夢の実現に向かって全力で向かっています。

ベトナムでサッカーチームを運営する場合にも、夢を現実に近づけていくことが大事ではないかと思います。強いチームを立てるために、スキルが高い選手を招かないといけないです。それにはやっぱり資金が必要ですね。その両立が大切だと思います。


ありがとうございました!

髙田明氏

Profile:

・髙田明:1948年11月3日、長崎県生まれ。大阪経済大学経済学部を卒業。

・ジャパネットたかたの創業者。街のカメラ店から始まり、1990年に長崎放送にてラジオショッピングを行ったところ、5分間の放送でコンパクトカメラが50台も売れ、100万円ほどの売上を達成したことから、ラジオショッピングに業務に主軸を置くようになる。1994年にはテレビショッピングに進出、その後カタログ、インターネットと通信販売を拡大。2006年度に、長崎県内の小売業1位となり、売上高が1,000億円を超えた。商品取扱品目数は2016年時点で約8500種類、売上高は1700億円超え。

・現在は株式会社A and Live代表取締役および株式会社V・ファーレン長崎代表取締役社長を務める。

・ジャパネットたかたが制作するテレビ・ラジオショッピング番組のMCとしても知られていた。長崎弁と明るいキャラクターで人気が高い。「人の人生を幸せにするために」という思いによって、企業が生き残るためにお客様と社員を大事にする企業理念を確立している。

(参照:Wikipekida, Hatena Keyword)

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